社会保険加入の抜け道とは?週20時間以上の労働者も強制加入の条件とは?パート短時間従業者はどうするのがいい?をタイトルにお伝えしたいと思います。
2022年10月から、社会保険加入資格の条件が拡大されます。
それに伴い、週20時間以上労働しているパート従業員、月の賃金が88,000円以上ある者、2ヶ月以上継続して働く可能性のある従業者は、学生以外、世帯主の扶養から外れて、自身で社会保険被保険者になることが定められました。
社会保険加入の抜け道とは?「働き損」を避けるための工夫
パートの収入金額がある一定の額を超えると、先に挙げた社会保険への加入と自分の税金の支払額、また配偶者の税金の支払額に影響して、「働き損」という悲劇が起こります。
大雑把にいうと、
130万を超えて社会保険に加入した際の手取り金額はおおよそ110万円、130万までに抑えると、5%の税金(現在は災害復興税2.1%が加算されます)が引かれて、手取り金額は1,286,500円ということになります。
15万円以上の働き損をした気分になってしまいます。
もちろん、社会保険に入れてもらって安定した形態でお仕事に就きたいという従業者にとってはとても意義のある法改正ではあります。
しかし、パート従業者には配偶者の扶養家族として、家計の助けになればいい、という考えでお仕事をしている主婦(夫)の方が多いことも事実です。
「税金の壁」と「社会保険の壁」
まず、106万円の壁とは、それを超えると税制上の控除の範疇を超えてしまい、所得税が課せられることになるということです。
そしてパートの収入に所得税がかかると、扶養控除が受けられなくなり、配偶者や親の収入に対する税金額が上がってしまいます。
次に130万円の壁とは、社会保険上の控除の範囲内かどうかという境の金額のことです。
130万円を超えてしまうと社会保険の加入義務が発生する年収額です。
パート従業者が自分で社会保険料を支払わなければならないので、手取り金額は大幅に減ってしまいます。
それに加えて、配偶者が勤務する企業によっては配偶者手当や家族手当が支給されなくなってしまう場合もあります。
単純に自分の手取り額が15万円低くなってしまう、という事だけではなくなってしまう事になります。
ただし、130万を超えて150万円までであれは、配偶者の給料の配偶者特別控除については全額が適用されます。
社会保険加入を免れる抜け道とは? 強制加入を逃れる5つの条件!
それでは、どうすれば加入せずに済むのでしょうか?
下記の5点の条件を満たせていなければ、パート先の社会保険に加入しなくても良いということになります。
・月に88000円以上の収入
・週に20時間以上の就業
・従業員数が101人以上の企業である
・2ヶ月以上継続する意思がある
・学生ではない
一つづつ、条件を満たさずにクリアできそうか見てみます。
✖︎月に88000円以上の収入にならないのでは家計が成り立たないので、この条件を満たせていないとパートに出る意味がありません。
○高時給のお仕事を探して、19時間以内の就業で稼ぐ。
○従業員が100人以内の企業にお勤めする。
○2ヶ月ごとにパート先を転々と変える。
✖︎通信教育や夜間学校は、社会保険上では学校の定義として認められていないので、主婦(夫)の方が、こちらの条件を満たさないというのは少し厳しいですね。
3つの条件の内1つクリアできれば、社会保険に加入せずに済みます。
また、106万円の税制上の金額の中に交通費として支給される金額は含まれることはありません。
パート先を探す時には、交通費がもらえる企業を選んだり、交通費を上限までもらえるように工夫しましょう。
社会保険に加入するメリットを考える
損得勘定だけではない
社会保険に自身が加入するメリットとは、安定した老後の保証や医療保障が受けられるといったことが挙げられます。
例えば病気でお仕事が出来ない。などのトラブルが発生したときにも傷病手当がありますので、お給料の6割強が保証されます。
出産すれば出産手当がありますし、介護保険にも加入できます。
将来もらえるであろう年金の額が国民年金に上乗せされて、厚生年金を受け取ることができます。
何よりも金額や時間を気にせずに、働きたいだけ働けるということです。
臨時ボーナスが出てもビクビクお給料計算する必要はありませんし、残業があれば率先して残業できます。
自身のビジネススキルの向上にもなって、自信を持ってお仕事できるようになります。
しかし、自分の年収が150万円を超える場合には、単純に180万円くらいまで頑張って稼げると良いでしょう。
配偶者のお給料から控除される配偶者特別控除などを考慮して、現行では一番得になるようです。
ここでも働き損にならないように気をつけましょう。
ますます増加する国民の負担
令和6年10月からは、この社会保険加入対象範囲が拡大する予定です。
令和4年10月からは従業員数101人以上の企業が該当企業ですが、令和6年より51人以上の中小企業も適用の対象になります。
企業側にとっても社会保険の強制加入対象者の拡大については、大いに悩める課題です。
法定福利費としての経費を削りたいはずですから、お勤めのパート先の上役に加入したくない旨を相談すれば、何らかの策を考えてもらえるかもしれません。
いずれにせよ、今すぐにもらえる手取りが多い方法を選んで、自分で資産を構築していくのか、または将来やもしもの時に安心な道を選ぶのか、自分の働き方や家族の将来を考えていく必要がありそうです。